セルフメディケーション シリーズ 対談:次世代型薬局「薬局3.0」- 2.自分の天職とは? ワクワク感を信じて進む

セルフメディケーション シリーズ 対談:次世代型薬局「薬局3.0」- 2.自分の天職とは? ワクワク感を信じて進む

連載vol.2 自分の天職とは? ワクワク感を信じて進む

狭間研至先生 (医師 / ファルメディコ株式会社代表取締役社長)

連載vol.2 自分の天職とは? ワクワク感を信じて進む

池田
もともと薬局をやりたいと思っていたわけではないんですね?
狭間
留学の話も研究の道も魅力的だけれど、薬局も放っておけない。自分の天職は何なのだろうと、すごく悩みました。そんな時、斎藤一人さんの著書の中で「人は天職に近づくとワクワクする」という言葉に出合いました。人間、得意なことが天職とは限りません。"ワクワク"という軸で考えると、外科医の仕事ももちろんやり甲斐はあるけれど、薬局の人たちを育て、現場でその成果が表れたら、この国の医療はもっと良くなるんじゃないか…。そう思った時のワクワク感のほうが大きかったのです。
池田
そんな取り組みをしている薬局は、当時どこにもなかったですよね。
狭間
どこもやっていないし、どうすればいいかもわからない。でも、僕が商売人の子どもだからかもしれませんが、薬局を営むということは、地域に根ざしているぶん影響力が大きいというか、社員教育やモチベーションマネジメントを実践することでリアルに結果が出る──そう考えると、これはすごく面白そうだと。このことが今につながっています。
狭間研至先生
池田
それで留学の話をお断りになった?
狭間
僕たち医学部生の場合はだいたい、大学院卒業後は関連病院での勤務か、留学か、研究を続けるという選択肢になるんですね。無事に学位を取って教授との面接の時に、「僕は薬局をやろうと思います」と言ったら、めちゃくちゃ怒られました(笑)。
池田
それはそうでしょう(笑)。
狭間
第一外科の教授だった松田暉先生に「絶対認めへん! 出て行けー!」と激怒されました。同時に、とてもかっこよくて尊敬している先生から、「おまえはうちの呼吸器外科を背負って立つやつじゃないのか?」と慰留もされました。あの時が人生の岐路だったと思います。かなり悩みましたが、最終的に松田先生には「好きにしろ」と言ってもらいました。
池田
先生も手塩にかけて育てた教え子で、目をかけておられたでしょうから、さぞ残念だったでしょうね。
狭間
そうですね。すごく申し訳なかったです。実はその2年後に、松田先生から連絡をもらいました。先生は、新設される兵庫医療大学の学長になる予定で、地域に根ざした調剤薬局とはどういうものなのか、僕の話を聞きたいというのです。そのご縁で兵庫医療大学で講義をすることになり、今も薬学教育に携わっています。最初は大反対だった先生から「君のやっていることは意味のあることだ」と言ってもらった時は嬉しかったですね。その後、僕が日本在宅薬学会を立ち上げた時には、松田先生に顧問になっていただきました。

VOL.3 へ続く >>

狭間研至(はざま・けんじ)
プロフィール
ファルメディコ株式会社代表取締役社長、医師、医学博士。1969年大阪生まれ。1995年大阪大学医学部を卒業後、大阪大学医学部付属病院、大阪府立病院(現 大阪府立急性期・総合医療センター)、宝塚市立病院にて外科・呼吸器外科診療に従事。2000年大阪大学大学院入学、異種移植をテーマとした研究・臨床を行う。2004年より薬局経営に従事。現在は医師として診療を行いながら、一般社団法人日本在宅薬学会の理事長として薬剤師生涯教育や薬学教育に携わるなど、新しい医療環境の実現に向け幅広い活動を行う。著書に『薬剤師3.0 地域包括ケアを支える次世代型薬剤師』(薬事日報社)、『薬剤師のためのバイタルサイン』(南山堂)など多数。

「調剤薬局ジャーナル」2019年9月号より転載

【 TOPページ へ 】