セルフメディケーション シリーズ 対談:医学と異分野をつなげる「橋渡し役」に- 3.異業種を巻き込み、研究成果の実用化を目指す

セルフメディケーション シリーズ 対談:医学と異分野をつなげる「橋渡し役」に- 3.異業種を巻き込み、研究成果の実用化を目指す

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連載Vol.3 異業種を巻き込み、研究成果の実用化を目指す

大村光代先生 (薬剤師 / 慶應義塾大学特任講師)

連載Vol.3 異業種を巻き込み、研究成果の実用化を目指す

池田
さまざまなキャリアを積んでこられて、現在はどのような仕事をされているのでしょうか?
大村
今は、大学の先生たちが研究した内容をどうやって実用化して社会実装できるようにしていくかを考え、各所と橋渡しを行い、そのプロジェクトがスムースに運ぶよう支援をしています。現在は医歯薬以外の研究者との懸け橋も手掛けるようになってきました。一例を挙げると、医歯薬学以外の分野の研究者が医療研究を実用化まで進めようとした場合には、患者さんの血液や組織等を使って検証したいと思っても、なかなかそれを入手することはできない。それが医学部と連携することによって、研究を推進することができるんです。逆に、医学部の先生が抱えている課題を異分野の研究者からの提案により解決することもあり得ます。AI(人工知能)やVR(仮想現実)と医学を融合できないかとか、理工学部や農学部など、直接関係がないと思われる研究技術を医学に応用できないかと考えている人はとても多いのです。
池田
医学と異業種が連携するための調整役ということですね。
大村
そうです。今スタートしているのが、基礎研究の成果を実用化につなげるために、首都圏の私立医科大学や研究機関が連携する「首都圏ARコンソーシアム」(通称MARC)というプログラムです。私立の医科大学を中心に19の大学が連携しており、私はその実務をハンドリングしています。今後ますます異分野との連携を手がけていくようになるでしょう。
大村光代先生

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大村光代(おおむら・みつよ)
プロフィール
東京都出身。医学博士、MBA、薬剤師。1983年に明治薬科大学薬学部卒業後、慶應義塾大学病院整形外科の研究助手を経て、株式会社津村順天堂(現・株式会社ツムラ)に入社。その後、メルクジャパン株式会社(現・メルク株式会社)へ転職、勤務を続けながらテンプル大学大学院にて経営学修士修了。2003年よりベンチャー企業の経営に関わったのち、2007年、慶應義塾大学医学部大学院博士課程医学研究科入学。2015年に医学博士号取得。現在、同大学特任講師。同大学病院 臨床研究推進センター広報部門 部門長兼 トランスレーショナルリサーチ部門 連携支援ユニット ユニット長を務める。

「調剤薬局ジャーナル」2020年1月号より転載

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