薄紙を一枚一枚重ねるように患者さんからの信頼を得る努力を! 帝京平成大学薬学部教授 井手口 直子

薄紙を一枚一枚重ねるように患者さんからの信頼を得る努力を! 帝京平成大学薬学部教授 井手口 直子

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連載Vol.4.患者さんのハッピーをお手伝いする

帝京平成大学薬学部教授 井手口 直子

連載Vol.4.患者さんのハッピーをお手伝いする

池田
現在、ステイホームや新しい生活様式などが推奨され、私たちの生活も大きく変わってしまいました。生活習慣病をお持ちの方で困っている人も多いと思うのですが、健康相談も増えているのではないでしょうか?
井手口
そうですね。生活習慣病の方は、通院回数を減らすために処方日数が延びる傾向にあります。ですので、自宅での暮らし方や食生活など、その人の生活スタイルを把握できるような会話を心がけたいですね。血圧手帳をお持ちの方も多いので、チェックさせてもらうのもいいでしょう。たとえば血圧が高い人に対して、「減塩の食生活に変えてください」と言うのは簡単ですが、味の好みを変えるのは難しいものです。そこで、「血圧が高いのはご心配ですね」とお話しし、患者さんに寄り添います。「血圧が高いのは怖いけれど、食生活は一気に変えられない」と患者さんが感じているとします。そんな時、薬剤師がもし減塩と同様の効果が期待できるサプリメントなどをご案内できれば、患者さんの心理的な負担を減らすことができると思います。
池田
先生はスーパーフードやサプリメントのアドバイザーでもいらっしゃいます。機能性食品やサプリメントを薬局で取り扱う時代ですし、患者さんの抱えている問題を、薬剤師ならではの立場で助言できるというのは大きいですね。
井手口
そうですね、それもセルフメディケーションの一助になると思います。食生活において甘い物が大好きなのに我慢しなさいと指示されるのは辛いですよね。でも『ドクターズチョコレート』のように美味しくて低糖質の商品があればおすすめできますから(笑)。 私の経営する薬局ではサプリメントやスーパーフードにも力を入れています。これは、患者さんのハッピーのお手伝いをするためのものだと思っています。
池田
薬学の知識があるからこそ説得力のあるご提案ができますね。
井手口
そう思います。一人一人の患者さんに合うものは何か、薬との飲み合わせまで考えて食生活や生活習慣をアドバイスするのは、薬剤師にしかできません。
池田
患者さんのハッピーをお手伝いする。とても良い言葉ですね。セルフメディケーションにおいて大切なことだと思います。今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。
藤井隆太氏

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井手口 直子(いでぐち・なおこ)
プロフィール
帝京大学薬学部を卒業、薬剤師として勤務後、独立して株式会社新医療総合研究所を設立。日本大学専任講師、帝京平成大学薬学部准教授を経て、2013年より教授に就任。薬学博士、教育博士。日本ファーマシューティカルコミュニケーション学会常任理事、全国薬剤師・在宅療法支援連絡会副会長、日本地域薬局薬学会理事等を務める。ラジオNIKKEI『井手口直子のメディカルCafé』のパーソナリティとしても活躍中。最新刊『薬剤師になるには』(編著・ぺりかん社)のほか、著書多数。

「調剤薬局ジャーナル」2020年7月号より転載

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